《主な場面》

▽登場人物  <シテ> 前シテ 里女  後シテ 野干(狐)の精
          
          ワキ  玄翁道人
          アイ  玄翁の従者の能力(のうりき)
         
▽≪面≫  前シテ 万眉、増、若女、近江女
                   後シテ 小飛出
 

《主なあらすじ》

玄翁(ワキ)という僧が従者(間)を連れて奥州から都へ途中、那須野に着きます。すると、ある石の上を飛んでいる鳥が皆落ちてしまうことを従者が見つけて驚きます。
そこへ女(前シテ)が現れ、その石は殺生石と言って鳥だけでなく触るものをすべて殺してしまう石なので、近寄ってはいけないと言います。そして、その石は、鳥羽の院に仕えていた玉藻の前という女が実は鳥羽の院の命を狙っていたところ、目的を知られてしまい、那須野で石になったものだと説明します。僧がどうしてそんなに詳しく知っているのですかと女に尋ねると、実は、自分はその石の魂だと言い、消えてしまいます。

僧が祈っていると、石が割れ中から妖狐(後シテ)が現れ、鳥羽の院の命を狙い損ね、那須野に逃げてきたけれど、勅命を受けた三浦の介と上総の介に追われて遂には矢で射られてしまい、執心が残って石になった様子を見せて、これからは殺生をしないと約束して成仏します。

《雑感》

初めてこの話を読んだときは、それほど大きな石だとは思わなかったのですが、舞台に出てきた作り物の石は岩と言ってもいいくらいの大きさでした。

能曲目解説

『殺生石』 

九尾の狐の本体を現した後シテ。
その石に立ち寄らせ給うなと説く前シテ。
▽見どころ
前場(まえば)は女性を主人公とした能の風情で展開する。後場(のちば)では、一転スピードある展開である。小書(特殊演出)によって、黒垂や白頭に狐を表す天冠、泥眼や龍女などの面をつけ、長袴などをはいて、魔性の女の魅力を際立たせる女体姿となるなど、扮装や演技が大きく変わることも、この作品の楽しみのひとつです。