『葵上』

《主な場面》

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《主なあらすじ》

前半では光源氏との昔を懐かしみ、しっとりと謡う場面が主となるが、後半では般若の面をつけて、行者と激しく相対するダイナミックな場面の対比を注目してください。

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《雑感》

見る人がそれぞれのイメージで能を鑑賞する・・・、それが能の醍醐味だと思います。
まさにこの葵上はそれを代表するような曲だと思います。最後のシーンも六条御息所が成仏して鬼の姿がすーっと元の美しい御息所の姿に戻る・・・・しかし、やはり悲しみがまだ残ってるのか、嫉妬の気持ちがまだあるのか…それぞれの人がどう想像するかということを問うているような気がします。
▽見どころ

能曲目解説

▽登場人物 ○前シテ:六条御息所の生霊  ○ツレ:照日の巫女 
        ○ワキ 横川の小聖    ○ワキツレ廷臣

        ○後シテ: 六条御息所の生霊、鬼女

▽面    ●前シテ 増髪(泥眼もある)     "
       ○後シテ 般若
●泥眼・増髪 →
高貴であるが、その眼差しには底知れない思いがひた隠しされている様を含む。
白目の部分と歯は金色である。
但し、今回は増髪を使用している。品は良いが、狂気を帯びた雰囲気を持つ。
●般若 →
①白般若 品のある女性。
②黒般若 品がない。安達が原等。
③赤般若 執念を表す。道成寺
※般若は恐ろしさを表す反面悲しみも含んでいる。
※般若は女性を表す面であり、男性を表す場合はシカミである。シカミには角がない。

延べられた一枚の小袖が病床の葵の上を表す。六条御息所は嫉妬の恨みに葵上を打ちすえる。
葵上は、舞台正面先に置かれる折りたたんだ着物「小袖」によって象徴されます。
鬼形に変じて行者の祈りと争う六条の生霊。二本の角の生えた般若は女の鬼の表現である。
光源氏の妻・葵の上は、もののけに取り憑かれ病床にいる。高僧の加持祈祷も効果はなく、照日の巫女〔てるひのみこ〕を呼んで“梓弓〔あずさゆみ〕”を鳴らすと、気品のある女性があらわれます。女は六条御息所の生霊だと答え、昔にひきかえ、現在の境遇を嘆き、葵上に対する深い嫉妬心から報復しようと、尽きせぬ恨みを告白する。葵上の枕もとに立った御息所の怨霊は、葵上を打ち、破れ車に乗せて連れ去ろうとする葵上の容態の急変に呼ばれた横川小聖〔よかわのこひじり〕は一心に祈るが、そこに現れたのは鬼女となった御息所の怨霊。両者は激しい闘いをくりひろげるが、やがてその法力に折伏されて、六条御息所の怨霊は成仏します。

※「梓弓」は、呪術に用いられた弓で、その弦(つる)を指で弾いて、「ブーン」と鳴らす音に、物の怪〔もののけ〕の類が引き寄せられると考えられていたようです。